桂さんの「宿替え」

桂さんの「宿替え」
今日は宿替え。荷物ひとつこしらえるのにもゴチャゴチャゴチャゴチャのろけ混
じりのロげんかをしているので少しもはかどらない。やっと新居へやって来て、ほ
うきを掛ける釘を亭主が打ったところ、嫁はんとのロげんかに気をとられて、八寸
の瓦釘を隣との境の壁へ打ち込んでしまう。早速知らせに行かなならんととぴこん
だのが筋向いの家。われながら自分のあわて者振りにあきれかえり、今後は落ち着
いてことにあたろうと決心する。
ところが今度は落ち着きすぎて、釘を打ち込んだことを言うのに、嫁はんとのな
れそめの話から説きおこして延々とのろけ話を披露する。ようよう用件を理解した
隣家の人が調べてみると、なんと釘は仏壇の中を貫通している。あきれはてた隣の
人が「あんたの家には他に男手はないのか」とたずねると、「そう言われたら父親
を前の家の二階へ寝かしたまま忘れてきました」と言い出す始末。「親を忘れる人
がおますかいな」と言えば「親くらい何でもおまへん。酒を飲むとわれを忘れてし
まいます」。

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